グリーフパートナー歩み 設立趣旨


人の人生は、多様な喪失と悲嘆を繰り返す歩みでもある。グリーフ(悲嘆)とは喪失体験から生じる情緒的な感情のことで、そのほとんどは社会生活の中で自然に癒やされていくが、現代社会は核家族化が進行し、地域社会の人間関係も希薄になったことから、孤独な悲嘆者がいるのが現状であり、第三者からのグリーフ的介入を必要とする人や意図的にグリーフケアを望む人のニーズを充足する新たな社会システムが今の混沌とした世の中に求められている。

また、現代社会では個人の生活様式や思考の多様化、グローバル化、ボーダーレス化、少子高齢化の進行など、社会をとりまく環境の変化は驚くほど進んでいる。その反面、そうした社会に対応することが困難となってきており、大人だけでなく生きる意味を見失うなど喪失体験を抱えている子ども達が増え、その結果、自死や悲惨な事件の引き金になっている子どもたちもいる。一方で、今日のストレス社会において、公的機関や医療機関の行うカウンセリングサービス等では事後救済として限定された対象者に対して画一的な対処を行わざる得ないところがあり、苦悩が引き起こす様々な問題が顕在化する前段階で対処することができる事前予防救済システムの確立及び普及を継続的に行うことが求められている。

 

当会は、死別による喪失体験だけでなく多様な喪失体験により悲嘆を抱える人々のニーズに対応できるスピリチュアルケアを土台としたグリーフケアの実践を行うことを特徴とし、人材の育成、他団体との連携、社会への啓発活動を行う。その結果、健全な社会が実現されるものと考える。

 

なお、グリーフパートナー歩みが考える多様な喪失体験とは、

下記のものを示し、目に見える喪失(物理的な喪失) 目に見えない喪失(心理社会的喪失)多様な喪失体験があります。

 


①    大切な人の喪失(家族、友人知人、身近な人の死)

②    身体の喪失(健康、障害、老化等)

③    所有物の喪失(財産、仕事、ペット等)

④    環境の喪失(転校転居、被災等)

⑤    役割の喪失(職業や家庭における役割の喪失)

⑥    自尊心の喪失(いじめ、パワハラ等 全ての喪失に関わる)

⑦    安全 安心の喪失(災害、戦争、虐待等 全ての喪失に関わる)

⑧    生きる意味の喪失(夢、希望、目標等 全ての喪失に関わる)

 

 上記、多様なスピリチュアルケアを土台としたグリーフケアの実践を行う相談員・支援者の育成と、スーパービジョンを実施するために、医療・心理・福祉・教育・宗教・産業の専門家及び専門機関と連携することを特徴とする。